ホシナの投稿 3

ホシナの投稿 3

ma-saというデザイナー

ma-saに初めて会ったのは、彼女が美大の卒業を控えた頃。
担当教授の田辺先生に紹介されて、卒業制作のための椅子製作をBC工房に依頼するために来たときだった。
可憐だ、思って鼻の下を伸ばしていたら、そのままBC工房に入社した。
一緒に在籍したのは数か月だったが、彼女はそれ以来、あるじの鈴木さんと共に数々の椅子をデザインし続けている。

デザイナーma-saの仕事は、ショップで接客、納品で力仕事、工房で木粉にまみれて木を削り、
座り心地を確かめながら自分で張地を張る。
鈴木さんに叱責された仲間を励ましたり、ときには(しばしば?)追い討ちをかけたり。
いいと思ったら誉めて木に登らせ、ダメと思ったら穏やかな口調でキッツいことを言う。
ma-saの強さを感じるのは、思ったこと考えたことをそのまま言葉にし、行動することだ。
嘘がない、素直なことは強い。ma-saは、鈴木さんを叱ることができる。
鈴木さんは、ma-saに叱られると、その素直な叱責によっていい子にいうことを聞く(?)。

BC工房のことをすべてやりながら、こんな椅子をつくろうとイメージが固まると、
迷いなくデザインスケッチを描く。図面は描かない。
原寸のデザインスケッチで、工房スタッフと新作づくりにいそしむ。
手で、現場で、五感で、
自分のイメージと思考に素直に向き合いながら椅子をつくり出すのがma-saのデザイン、だと思う。

可憐な女子大生は、25年経っても可憐で肝っ玉のすわったBC工房の女将デザイナーになった。
おっとりしているようで、鋭い。仕事のやりとりに緊張感がある。
ダメなものはダメ、いいものはいいと、自分にも相手にもハッキリしている。
そうやって、500脚の椅子をデザインしてきた。

ma-saといっしょに仕事をすると、おっかないと思うことがある。そして、頼もしい。

hocna

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