ホシナの投稿 2
一匹猪
あるじの鈴木さんがつくった「日本人の椅子」という本の中で、
柳宗理さんについて、渡辺力さんからコメントを書いてもらった。
その中に、「昔から、柳は一匹狼といわれていた」とあった。
アカデミーとか、行政とか、企業とかに束縛されずに、デザインの荒野を独りで黙々と歩むデザイナー。
そんなイメージが浮かんだ。
そうコメントした渡辺力さんも、生涯現役でそうとうな一匹狼だったのではないだろうか。
大先生だった柳さん、渡辺さんから、鈴木さんは可愛がられていたと思う。
せんせーせんせーと媚びたり忍び寄ったりせずに、
「柳さん、力さん、一緒に新作をつくりましょう!」と、モノづくりの共同を正面から持ちかけた鈴木さんだからこそ、
一匹狼たちは受け入れたのではないだろうか。
鈴木さんも、そうとう一匹っぽい。
束縛されない、飼われない、自分で檻をつくって自分で檻を破る。
かつては家具プロデューサーとして家具メーカーやデザイナーと共同していたが、
やがて自らがメーカーとなって、自らデザインし、自ら工房とショップを営み、家具屋のへんこつあるじとなった。
もっと面白いことは何なんだ、もっと楽しい家具は何なんだと、歩み続ける。
動き回って、何かを嗅ぎつけると突進して拓いていく。
BC工房のデザイナーのma-saと電話で話すとき、
「いま鈴木さんは、◎◎に猪突猛進しています、猪ですから」と言ったりする。
鈴木さんは一匹狼だ、と言いたいところだが、一匹猪のほうが合っているかな。
ma-saが言うように。
hocna