ホシナの投稿 1
モノづくりは闘いなのか
あるじの鈴木さんは、いつも変わるし、いつまでも変わらない。
むかしむかし、40年ちかく昔のこと。
事務所にかかってきた電話にミニスカートが似合う学生アルバイトのS田さんが、
「モシモシ、BC工房です」と応じたとたんに、
「モシモシいうなっっっっっ!!!!!」と、
電話中のミニスカートが似合うS田さんを超ド級の怒鳴り声で叱りながら、
さらに掛かってきた電話に、「モシモシ、ケイゾウです」と自分で出て事務所を凍りつかせた。
言ってることとやってることがたちまち変わっているやん〜、
とそんな話がしたいわけではなく。
たしかに、この前言ったことと違うことを言ったり、
いつの間にかテーマが反対のことになっていたり、
それをいちいち怒鳴ったりで、こちらとしてはとてもとてもとても大変ではあるが、
そのときの鈴木さんが言うことは間違っていない、本気で言ってる、信じて言ってる、
思ったこと考えていることをそのまま言ってる。
となると、クチゴタエができない。
怒鳴っておっかないからクチゴタエできないということもあるが、
ちくしょー、正しいことを言われて言い返すことができない。
40年前、鈴木さんはモールドウレタンを使ったラウンジチェアを開発したり、
モールドウレタンを使った椅子デザインに熱をあげていたことがあった。
その後、座のクッションについては、
シートウレタンを何層も重ねたり、ポケットコイルを2段で使ったり、
バケットシートのような座面形状にしたり。
「普通の気持ち良さ」を探求しつづけて、いろいろやり方を変えてきた。
先日、あるじの戯言でモールドウレタンのことを書いていたのを読んで、
鈴木さんはいつも変わり続けて、いつも変わっていない、と思った。
変わり続ける、変わらない。
鈴木さんはホンモノを探求することと闘ったり、今の自分といつも闘っているのかもしれない。
だからホンネ本気で怒鳴る。そう思えば、怒鳴られることなど、恐ルルに足らずだ。
でも、怒鳴られたら、やっぱビビるわ。
hocna
註◉1980年代に鈴木さんがイタリア・日本のメーカーと共同で開発した椅子。
一体成形のモールドウレタンを使い、張地はレザーで、黒、赤、青、茶、ピーコックグリーンなど、
イタリアンスーパーカーのようにカッコいい、名前はポンテミラン。