007 いちばん新しい 楽しい BC工房 ものづくりは青春だ

こんにちはエーランチです 7

いちばん新しい 楽しい BC工房
ものづくりは青春だ


ふじのリビングアートギャラリー
2021年3月28日 復活オープン

2019年10月の台風19号は、各地に大きな被害をもたらし、BC工房では、ふじのリビングアートの敷地が土砂崩れを起こし、無垢板ギャラリー棟と工房ショップ棟の五分の四が崖下に崩れ落ちました。
早朝の出来事だったため、BC工房では人身の被害はなかったものの、さすがの鈴木さんも1週間くらいは元気がなかったと、のちに上田さんから聞きました。

それから1年が過ぎた頃に訪ねると、工房棟の前に大きなコンクリート基礎が打たれていました。崩落した斜面も復旧が進み、今年の一月にはガラス張りの大きな建物が姿を見せました。
ふじのリビングアートギャラリーが復活。半円形の建物から、わくわくする迫力が伝わってきます。基礎と鉄骨の躯体は専門家に委託し、そのあとはスタッフの手でつくり上げた建物です。どうぞ訪ねてみてください。おとぎの国のお城のような扉、「幸せのアート門」が、3月28日にオープンします。

リビングアートって、何だ?
ギャラリーって、何だ?

思い返せば、BC工房のあるじ鈴木さんは、ずっと前からギャラリーにこだわっていました。25年前に、BC工房が初めて自前製作で発表した家具ブランドの名前は「チークギャラリー」。それ以前は、渋谷の閑静な住宅街にめちゃくちゃオシャレな「ショールーム」を開設し、オシャレな輸入家具とOEM製作のオリジナル家具を展示していましたが、「チークギャラリー」開始と同時に引っ越した神宮前では、考えて・デザインして・つくって・売る場なんだ、といってお店を「工房ショップ」と呼ぶようになりました。
家具ショップ、インテリアショップと名乗らない。鈴木さんの真意はなんだろう。鈴木さん、ギャラリーって何ですか???

売るためのものづくりはしない
売れなきゃダメだけど ムジュンだけど

矛盾や不純が好きそうな鈴木さんから、純粋なお話を聞きました。

「なんでギャラリーって、つけたのかな。ギャラリーって、どういう意味だっけ──。そっか、画廊とか観客ってことなのか。
「イギリスのアーツ&クラフツ運動に共感していたことがあったね。百数十年前に産業革命による工業化・量産化に対して起こったわけだけど、アートとクラフトが融合した生きたものづくりをBCもやりたいと考えていたんだと思う。
「いまは、AIとロボットで、工業化に加えて自動化も起こって、それを否定する気はないけれど、BCみたいに小さい工房は、感性を生かしたものづくりをしなきゃなくなってしまう。
「だから、売るためのものづくりはしない。売れなきゃダメなんだけど、ムジュンしているんだけど。マーサ(上田さんのこと)とも相談して、BCもNCルーターのような機械を使うことを考えたこともあるんだよ。でも、やっぱりよそう、と。
「だから店も、単なる売り場じゃなく、目と手で見て・触って・楽しんでもらおう。BCの良さを知ってもらいたい、という気持ちからかな。仰々しい美術館は好きじゃなくて、気楽な美術館みたいなのが好きだね。
「ギャラリーって、まあ、そういうことかな」

隣で一緒に話を聞いていた上田さんは、
「鈴木さん、そんなことまで考えていたんですね!」、「普段、そんな話してくれないから」と、付き合い続けて24年目の感激にうるっときていました。
「そんなこと、マジメに語ってもしかたないじゃないかー」と、鈴木さん。

素っぴんの、素。原点帰り。
その人が出てくる物と空間。

ギャラリーは、工業化や自動化に対するアンチテーゼ。反骨あるじの、ものづくりに向き合う原点の思いや考えから湧き出た言葉でした。人の手と目でつくる。目と手で感じてもらいたい。わかってもらえる人と出会いたい。
「わりと純粋なんだよ。素っぴんの素を出すんだ。ふじのリビングアートギャラリーって。青っぽい原点。青い林檎ですよ。」と、少し照れを隠すような笑顔で、鈴木さんは話してくれました。

(つづく)

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